【ICT施策】小学校に1人1台以上のコンピュータを配置する方法

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新しい学習指導要領の大元とも言える「未来投資戦略」では、2020年までに学習用のコンピュータを「3クラスに1クラス分程度」準備するというKPI(達成指標)が設定されています。2017年時点では児童生徒5.9人に1台(同じく未来投資戦略より抜粋)しかない状況です。6名に1台とした場合、40名のクラス×3、つまり120名に40台には全く足りていない状況です。

 

仮に、3クラスに1クラスの配備できる状態が達成できた場合でも、それは100%のゴールではないと筆者は考えています。今回はその理由とともに2020年までにできるかもしれない「小学校に1人1台以上のタブレットを配置する方法」について検討してみたいと思います。

3クラスに1クラスでは達成ではない理由

未来投資戦略では「3クラスに1クラス分」という曖昧な目標設定となっていますが、仮に40台が3クラスに共有として配備されてた場合でも、それはクリアということにはならないと思います。筆者が考える真の達成ポイントは「1人に1台(以上)」のコンピュータが配備できるか否かだと考えているからです。

 

一旦話を社会人向けのスクールで考えてみましょう。例えば、パソコンスクールでもプログラミングスクールでも同様なのですが、これから「コンピュータを学ぶぞ!」という人はよほどの事情が無い限りは自宅にもパソコンがあります。つまりは、公私共に学ぶ環境があるということです。もっと言ってしまえば、学ぶ環境でなくともICT機器に触れる機会があるというのが大きなポイントです。

 

筆者の場合、IT企業の新入社員研修でプログラミングを教えることもありますが、社会人になってパソコンが自宅にない方は残念ながら理解度も低い状態です。また、研修をきっかけにパソコンを購入される方はその後の伸びしろが期待できるのですが、そうではない方は残念ながら研修を受ける空間でしかICTに触れる時間がありません。

 

必ずしも寝食をICT機器と過ごし「コンピュータは友達だ」という関係を築いてほしいわけではないのですが、児童生徒も同じで、コンピュータがそばにあることが「当たり前の状況」になっていないといけないのではないでしょうか?

 

前述のように、研修、つまり、授業を受ける空間でしかコンピュータに触れることができないのは、特別な空間でしか扱えないという、未来投資戦略の目指す「AI時代に対応した人材育成」には適っていないのではないでしょうか。

目指すは100%配備

まだまだ絵空事なのかもしれないですが、目指すのは「コンピュータの100%配備」です。また、もっと言うと「公私ともにコンピュータの100%配備」が理想です。では、100%配備にはどんな課題が存在しているのでしょうか?

予算

全国の小学校の全校生徒数平均をおよそ300名、タブレットの価格1万とした場合、1校300万の予算となる計算ですが、これでは単純に「高いから購入できない」で終わってしまうでしょう。

 

ですが、ここから知恵を絞る必要があります。例えば、中古のタブレットの購入や個人宅のタブレット持ち込みなどが考えられるでしょう。タブレットの性能などハイスペックである必要はないと思います。重要なのは、それを使って何の授業をするのかが検討できているのか?にあります。ここがぶれていると必要なスペックが分からなくなり、高機能なタブレットを購入するはめになってしまいます。

 

また、民間企業はこのプログラミング教育を特需と言わんばかりに不必要な機能を搭載したコンピュータを山程販売するでしょう。まずはご自身の学校で何が必要なのかをしっかりと検討しておきましょう。

セキュリティ

コンピュータの持ち込みにはセキュリティの問題がつきものですが、最低限のセキュリティはLAN環境を設定すれば解決できる可能性があります。最善なのは、端末毎にセキュリティソフトを導入するのがベストですが、コンピュータは授業で使う意外はネットワークに接続できなくても良いはずです。むしろ、接続できない方が不要なトラブルを避けることができるので、理想かもしれません。

操作

操作については、教員のみなさんで覚えていく必要がありますが、昨今のプログラミング教育市場は様々なツールが存在しすぎていますが、最低限の操作だけ覚えれば済むように、ツールの選定とマニュアル化を徹底するいことをおすすめします。また、選定するツールは可能な限りクラウド型であることが理想です。

 

クラウド型の特徴は以下のとおりです。

 

  1. インターネットが繋がる環境であれば使用できる(インストール不要)
  2. おおよその端末で使用できる(インターネットブラウザで使用)
  3. データがクラウド上(のサービス)に蓄積される

 

他にもさまざまな課題はあると思いますが、知恵を出していけばおそらく解決できるものがほとんどだと思います。

少しの知恵の積み重ねで解決できる可能性

理想を言う分には勝手な部分はあるにせよ、導入には多くの課題はあると思います。更に、プログラミング教育バブルと言って良いほどの最新サービスが続々登場しているのですが、小学校教育で重要なのは子どもたちの成長であることは変わりません。そこを外さなければ、ICTにかける予算は最小限にとどめつつも最大の効果を出す方法が必ず見つかると思います。

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