【いまどういう状況?】小学校プログラミング教育における日本の対応状況から対応を考えてみる(環境整備)
新しい学習指導要領が公開され、2018年は小学校、中学校で先行実施の期間が行われました。全面実施まで残すところわずかとなった日本国内では、はたしてどの程度準備が進んでいるのでしょうか?
今回は文部科学省の集計データに基づき、日本の小学校におけるプログラミング教育の準備状況がどの程度なのかを見ていきたいと思います。
新しい学習指導要領の対応スケジュール
新しい学習指導要領が改訂され、2017年より周知徹底の期間が開始されました。およそ10年ぶりの大型改訂の目玉と言えば、本記事のタイトルにもあるとおり「プログラミング教育の導入」です。
2018年、小学校においては新しいカリキュラムに向けた先行実施の期間、つまり、試験運用フェーズと言えます。試験的に授業内にプログラミングの要素を取り入れて効果測定を行ったり、使用する教材の選定の期間となりました。
今回の学習指導要領の改訂においては、これまでの「何を教えるか?」から「何ができるようになるか?」が重要視されるようになったことによって教育を通しての効果測定にはセンシティブになったのではないでしょうか。
各学校においては特に若手の教員の方を中心に様々な指導方法、ツール活用が提案されており、効果をあげている学校も少なくはない状況ともいえます。
2019年においては、引き続き先行実施期間ではあるものの、翌年には全面実施、つまりプログラミング教育の本番を迎えるため、試験運用フェーズから本格導入フェーズに移行する期間となります。
日本国内のプログラミング教育対応状況
では、試験運用フェーズにおける学校の準備状況として以下について見ていきたいと思います。
ICT環境整備状況
- 教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数:5.6人に1台
- 普通教室の無線LAN整備率:34.5%
- 普通教室の電子黒板整備率:26.8%
電子黒板については必須の設備ではないと思いますが、問題なのは最初の2点。児童生徒5.6人に1台しかコンピュータが割与えられていない状況であることと、コンピュータが満足にネットワークに繋がる状況にはないという状況です。上記の数値だと、到底デジタルツールを活用したプログラミング教育の実現は難しい状況です。
乗り越えるべき課題は少なくはないものの、解決不可能な問題ではありません。重要なのは「できない理由を探す」のではなく、「現状からどのように解決に導いていくのかを探す」ことです。
例えば、無線LANが何故整備できないのでしょうか?セキュリティに問題があるのであれば、ツールを導入するでも良いでしょう。または、運用ルールを整備して仕組み化で乗り切ることも考えられます。対応できる教員がいないのであれば、業者に依頼するのか、みんなで勉強しながら進めるのか、はたまたボランティアを募るのも手です。
満額回答を期待しても時間もお金もかかってしまいます。ゴール設定を明確にし、そこに至るまでにどんな問題があるのかを挙げていけば解決可能なはずなのです。
必要なのは「手間の細分化」
先の章では、ICT環境整備の状況について見ていきました。
実際のところ、コンピュータと無線LANが必須なのか否かは「教育の進め方」によって異なると考えています。極論としてコンピュータを必要としないアンプラグドな教育だけでもプログラミング教育の大半はクリアできてしまうのかもしれません。準備で必要なのは、その準備の手間をどこまで細分化して検討できるか?にかかっています。
無線LANも、なぜ無線なのか?いつ、どのようなタイミングで使うのか?校内LANに繋がっている必要はあるのか?など、事細かに検討できていることがベストです。これにはかなりの時間が必要ですし、専門知識も必要とされる項目もあるでしょう。ですが時間をかけない限りは準備はすすみません。早急に重い腰を上げて検討を進めてみてください。