【ICT化の前に知っておきたい】学校内をICT化をしても運用は楽にならない
何かと忙しい校務。デジタル化をして楽をしたい!と思いつつも紙媒体や口頭での運用をしている部分が大半を占めているという学校はいまだに多く残っているのではないでしょうか?
そこで、校務に関する運用をICT化してすべてがハッピーに!となることが実際にあるのかどうか?を検証をしてみました。
結論:ICT化をしてもめんどくさいがメリットはある
残念な事実ではありますが、ICT化をしても運用が楽になることはないという事実があります。誤解を恐れずに言えばというところではありますが、紛れもない事実です。
では、先にICT化をすると「何が嬉しいのか?」というメリットについて解説します。
ICT化のメリット
単調作業から解放される
ICT化をすれば単調作業から解放されます。例えば「集計する」という作業は特に効果が大きいでしょう。
児童生徒の成績を集計したり平均を出力したり、教員の勤務時間を集計したりするなどの作業は定期的に訪れます。これらが自動化され、かつ、正確な情報(あくまで入力値が正しい場合ですが)を得ることが可能となります。
効率が良くなる
紙などを使った昔ながらの運用では、ほしい情報を探すために相当な時間がかかってしまいます。一般的な社会人は年間で150時間もの探しものをしていると言われています。約6日間も不眠不休で探しものをしていると考えただけでゾッとしてしまう話です。
例えば、連絡事項をメールでやりとりするだけで、あとは過去の履歴はメールソフトなどを使って検索をすれば瞬時に探し出すことが可能です。また、少々高価にはなりますが、OCRという読み取り機能がついたスキャナを導入すれば、紙の資料を電子化した際に、その中の文字を検索することが可能となります。
いままで、紙の資料や文献をひっくり返して探しものをしていた作業がかなり短縮されます。
見える化ができる
この「見える化」については2つの意味で表現しています。
例えば、見える化の代表例といえば「集計データ」が挙げられます。生徒児童のテスト結果を集計し、ランキングを出したり、個人の得意、不得意な科目を分析するなどに使用できます。
また、もう1つは「どこでもアクセスできる」ということです。これはクラウドを導入した際に得られるメリットです。クラウドサービスは、一般的には、端末を選ばずどこでもアクセスできるという仕組みを指すことが多く、学校内外どこからでもほしい情報が閲覧できます。教室を移動した際や、出張で外部に視察や勉強会に参加した際に、自分の学校で管理している情報にすぐアクセスできるのです。
メリットは語らずとも「こういうのを期待している」と考えていらっしゃる方も多いでしょう。ですが、反対に便利になるものもあれば不便になるものもあるということについて解説していきます。
ICT化をしても楽にはならない
何かと便利なところばかりスポットライトがあたっているICT化ですが、実際のところ不便な部分も多いです。先程はメリットを紹介したので、次はデメリットを紹介します。
ICT化のデメリット
効率化するためにはツールを使いこなさないといけない
ICT化にはまず、そのツールを使いこなすことから始まります。イメージしやすいところとしては文書作成をOfficeのWordやExcelで行うケースを思い浮かべていただくと良いかもしれません。
Officeは確かに便利なソフトですが、社会人になればすぐに扱える代物でもなく、習熟するまでに時間を要します。Wordで言えばフォントやスタイル、Excelで言えば関数を使わない限りは効率的に文書作成はできません。
コストがかかる
便利なICT機器ですが、使うためにはコストがかかります。例えば、一般的にも使われているGmailですが、通常は無料で使用できていますが、法人などが使用する場合には1人(アカウント)につき500円が毎月請求されます(本文執筆時点での価格設定です)。
例えば、職員20人にアカウントを発行すると、20人 × 500円 = 10,000円が毎月のコストとして請求されます。特にクラウドサービスの場合は、アカウント単位で利用料を請求することが多く、決してコストが安くなるといったことはありません。また、物理的な機材を購入するにしても同様で、初期費用がかかります。
セキュリティが厳しくなる
ICTの進化は利便性を向上させると同時に自由を奪います。
クラウド化をすれば欲しい情報にいつでもアクセス出来ますが、ネガティブに捉えれば何処からでも情報が抜き出せてしまうのです。
対策として例えば、限られた権限を持つ人しか利用できなくなったり、校内LANからアクセスできなかったりと、セキュリティを強化することになり、結果として思っていたほど便利ではなくなるのです。
ICT化は手段の変更
どの業界でもICT化は当たり前の時代になりました。前述のとおり、メリットもあればデメリットもあります。
使う側としてまず、知っておくべき本質は、ICT化は自らの業務を楽にするものではなく、手段が変更されただけと捉えるべきです。
手段が変わった結果として、何が嬉しくなるかと言えば、効率化されて時間が捻出できるようになります。その空いた時間を有効に活用し、児童生徒への対応、つまり、ICTではなく、教職員でしかなし得ない本来のミッションへの集中が可能となります。
そのためには数あるICT機器を使いこなすことも必要ですし、ICT支援員などのパートナーに協力を依頼するのも手です。
学校全体もAI時代に対応しましょう。