【プログラミング教育に困ったときのテクニック】ICT機器はどうやって使うべき?(小学校教育編)

「プログラミング教育」を行うにあたって、様々な試みを行っている方も多いかと思います。

高校では「情報」の技術が入りますし、それ意外の科目においても「プログラミング的思考」を養うために教育方法の改変が求められています。

 

「プログラミング教育」と聞いてとっさに思いつくのは、ICT機器を導入してデジタルな授業を展開することかもしれません。

これはある意味正しいことでもありますが、一歩間違えると「全く意味がないこと」もしくは「ただの宝の持ち腐れ」になって終了してしまいます。

 

今回はプログラミング教育におけるICT機器の正しい使い方について解説します。

学校教育で登場するICT機器

①プロジェクター(モニタ)

昔からあるICT機器としてプロジェクターが挙げられます。パソコンやタブレット等からすぐに情報を投影することができるので、利用したことがある方も多いでしょう。

最近では、プロジェクターとスクリーンの組み合わせの他、大型のモニタを使って投影する方式を採用している学校もあります。

 

前述のとおり、すぐに投影できるメリットがあるものの、情報を一方的に発信するだけにとどまり、学習効果を著しく下げてしまう可能性があります。

筆者が考える学習効果を下げる要因としては以下のようなものがあると考えます。

情報が読み取りにくい

意外なことかもしれませんが、プロジェクターやモニタ越しの情報は視界には入るものの、黒板やホワイトボードへの板書とは異なり、一度に情報が入ってくるために読み取りにくくなります。

 

また、ノートを取るにしても情報量が多すぎると、書き写すのに時間がかかってしまったり、書いている途中に次のスライドが映されてしまったりとタイミングが悪くなってしまう可能性もあり、最終的にノートを取らなくなってしまいます。

 

プロジェクターに投影する情報はあくまでも最小限にする方が良いでしょう。

また、授業でプロジェクターに投影するスライドは印刷をしてレジュメとして事前に配布してしまうのが良いです。

読めない/見えない

プロジェクターやモニタに投影するにしても、投影する対象のサイズ感を意識していないと文字サイズや画像の解像度によってはまったく見えなくなってしまいます。

仮に使用するにしても事前に表示を確認し、サイズを調整するなどしておきましょう。

集中できない

人間は目の前のものに変化が無いとすぐに飽きてしまう傾向があります。例えば、10kmのランニングをするにしても、ランニングマシンの上で延々と走るのと、移り変わり景色を楽しみながら走るのでは時間の流れが違うと思います。時間の流れが早いということは、それだけ集中できているということです。

 

これはプロジェクターの投影にも同じことが言えます。プロジェクターによく投影されるのは、パワーポイントなどのスライド資料が多いはずです。スライド資料は見た目の変化が少ないため、すぐに集中力を切らします。また、見た目に変化をつけるためにスライドにアニメーションをつける方もいらっしゃいますが、これも度が過ぎると単純に鬱陶しいだけです。また、液晶モニタなどは自分たちの姿が画面に写り込んでしまうため、これもまた集中力を割いてしまう要因になります。

②書画カメラ

学校教育ではオーバーヘッドプロジェクターと呼ばれる形式のものが広く使用されていたのではないでしょうか。

スクリーンに紙やフィルムなどに書かれた資料を投影するための機器をさらに進化させたのが書画カメラと言っても良いでしょう。

 

書画カメラはカメラで撮影した紙媒体などをプロジェクターに投影するための「読み取り装置」です。

「読み取り装置」という表現を使ったのは、、基本的に書画カメラは紙媒体などのスキャンにのみ対応しているものが多いためです(一部、プロジェクター機能をもつものもあります)。

オーバーヘッドプロジェクターとは異なり、手元の画像などをダイレクトに投影できるというメリットがあるので、細かい作業や操作を伝えたい場合には重宝します。

その半面、上記意外の用途には使い道がなく、授業内でどのように活用すれば効果的になるかは考える必要があります。

 

また、最近ではスマートフォン、タブレット、ノートパソコンのカメラの画素数も上がっていたり、パソコンに外付けのカメラでも鮮明に画像を撮ることが可能となっています。わざわざ専用の機器を購入する必要も無いのかもしれません。

③可動式コンピュータ

通常ではなかなか聞き慣れないキーワードですが、要は「持ち運びができるコンピュータ端末」のことで、言い替えれば、ノートパソコンやタブレットのことを示します。

 

最近では、教育用のソフトウェアと抱合せで販売するといったケースもよく見かけますが、ここでも検討すべきポイントはいくつもあります。様々な論点がありますが、基本は以下のようなシンプルなポイントで良いと思います。

子どもたちでも持ち運べるか

可動式コンピュータを使用するのは誰であろう、子どもたちです。子どもたちが持ち運べるか否かがポイントです。

教育で使用するソフトウェアがインストールもしくは操作できるか

可動式コンピュータのOSが、WindowsでもMacでも、ノートパソコンでも、タブレットでも大きな問題ではありません。

教育で使用を想定しているソフトウェアがインストールできるか、操作できるか次第です。

 

また、昨今出回っている教育用ソフトはそこまでハイスペックなものを必要としません。

使用するコンピュータの種類がどうというのは議論の対象ではなく、購入者のこだわりの部分が大きいでしょう。

 

将来的に別のソフトウェアが入るかどうかと悩むのも論外です。

購入したコンピュータでどうやって教育をするのかを考えることが正しいでしょう。

 

もし、あなたが可動式コンピュータの導入に悩んでいるのであれば、まずは「どんな教育をするのか」を整理した中で、比較的軽くて使いやすいものを選びましょう。

そして、少々ケチな話にはなるかもしれませんが、購入するものは決して新品である必要もないと思います。

 

また、1人に1台のコンピュータが配布できないようであれば使わない方が良いでしょう。

つまり、「どんな教育に」、「どこまでコストが支払えるか」の検討になります。

ICT機器の使い方

前述のようなICT機器はどのような形式の授業で使うのが良いでしょうか。

ここでは、授業の形態とICT機器の使い方などを解説します。

①一斉授業

一斉授業の形式では、多数の子どもたちに情報を伝達する方式が良いでしょう。

プロジェクターや、書画カメラなどを使って、広く情報を伝達し、または、ここの成果発表に活用できます。

②個別授業

個別授業では、可動式コンピュータを使用するのが良いでしょう。

課題をノートパソコンやタブレットに入力させる、また、必要な情報を調べるなどに最適です。

③グループ授業

グループでの授業では特にICT機器はなくとも、ディスカッションの方が重要だと思いますが、例えば、グループ内で挙がった意見をメモしたり、意見の内容を検証するために情報を検索するために、可動式コンピュータは必要かもしれません。

また、発表の際には、プロジェクターや書画カメラなどを駆使して見やすく発表するのも良いでしょう。

 

学校教育において、ICTの導入はまだ完璧な状態ではありませんが、いまのうちからしっかりとどんな授業にどんな機器が必要なのかを検討しておくことをオススメします。

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