【プログラミング教育に困ったときのテクニック】思うようにいかないときは基本に立ち返る
筆者は「授業は生物」だと思っています。ドラマや演劇のようにシナリオがあるわけでも、教え手と聞き手の間で打ち合わせをして流れを予め決めているわけでもありません。また、相手はロボットやコンピュータのように指示どおり動くことを命令されているわけでもありません。
すべてが思うとおりに行くことの方が少ないでしょう。ですが、多少の想定外は誤差の範囲内だとしても、授業の進行や結果に影響するような大きな問題に直面することもあるでしょう。
あなたがもし、直近でうまくいかないことがあったとした場合、今回の記事は役にたつかもしれません。今回は、物事が思うように進まなかった場合にやっておきたい「基本への立ち返り」について解説します。
思うようにいかない原因を探る
今回の解説で想定しているのは「自分自身が思い描いていた過程や、結果」から徐々にずれ始めているケースです。
例えば、家庭科の授業で料理の手順をフローチャートに示すという課題を導入した場合、
- そもそもとしてフローチャートの書き方がわかっていなかったので書き方の解説ばかりしていた
- フローチャートをきれいに書くことに集中してしまった
- フローチャートを書くことを忘れて口頭での議論だけで時間が終わってしまった
などの状況に陥ってしまうケースが考えられます。
1つ目は「単純な準備不足」、つまり「基本ができていない」というケースです。本時や余剰の中で消化できないという声も挙げられますが、もちろん満足に準備をすることはプログラミング教育にかかわらず多いにありえるでしょう。ですが、考え方を180度変えて「どうすれば限られた時間の中ですべてを落とし込めるのか?」を考える必要があるのです。
2つ目は「手段が目的化」してしまうケースです。極論として、フローチャートは手書きで、かつ多少雑に書かれていても構いません。なぜならば、「処理の流れが整理され、正しい結果に導けるか否か」が本質だからです。書き方や見栄えは時間があまったときに行えば良い作業です。
3つ目は「作業時間の配分ミス」をしているケースです。授業を行う際にタイムキーピングは行っていると思いますが、ついつい作業に没頭してしまうと、気がついたときには後の祭りとなってしまっていることでしょう。
他にも原因は挙げられるかもしれませんが、今回は以上のケースを基に対応策を考えてみましょう。
思うようにいかない場合の対処方
では、前述のケースに対して対処方を考えてみましょう。ポイントはすべて「事前の対応」が必要ということです。
基本ができていない場合の対処
基本ができていない場合の対処については「基本をしっかりとやる」が正解なのですが、時間に制限があるうえでどのようにすればよいかと言うと「余剰ではない余剰時間」を活用します。
一見、めちゃくちゃなことを書いているように思えますが、やり方は簡単です。例えば、フローチャートの書き方を覚えてもらいたい場合は、以下のような方法が可能です。
- 教室の中にあらかじめフローチャートの書き方を掲示しておく
- 授業のレジュメ(時間割)などの配布物に書き方を忍ばせておく
- フローチャートを教えるのではなく、日常的に図形を線を使って解説するクセをつけておく
子どもたちの洞察力や吸収力は大人の想像の域を超えていることが多く、日常の会話と同様に当たり前のように忍ばせておくのです。
手段が目的化している場合の対処
手段が目的と化してしまっている場合は、ゴール設定が頭の中から抜け落ちてしまっている可能性が高いため「常にゴール設定が目に入る状態」を作ります。さらに、ゴール設定は明確である方が有効です。5W1H(だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのように)までハッキリとしていればベストですが、最低限以下の内容は書き出しておきましょう。
- いつ
- なにを
- どのように
これを例えば、ワークシートの最初に書けるようにしたり、別紙に大きく書き出したりと、意識できるように配置します。
作業時間の配分ミスをしている場合の対処
作業時間の配分については、運営する側にも問題がある可能性があります。たとえば、ワークの終了5分前に「あと5分だからまとまっていないところはまとめておいてください」とか言われても時すでに遅しです。この場合は、ワークの中でも作業を分類して時間を計ってもらうようにしましょう。
- ゴールの確認
- ディスカッション
- アウトプット作成
といったように、作業ごとに時間を区切ることで、大きく遅れてしまうことを防止できます。
最後はみんなの性格を理解する
集団に対して教育をする場合、とにかく、個々人の性格によって運営が大きく左右されてしまうことは確実です。たとえ、前述のような準備を入念に行ったとしても、まだまだ上手くはいかないでしょう。あとは受け手となる子どもたちの個性をしっかりと考慮して伝え方を変えるなどの調整をすればすぐに改善できるはずです。