【プログラミング教育に困ったときのテクニック】すぐに試せる振り返り手法。KPTとは?
結果だけが全てではない
教育の現場において、あなたが相手の学習効果を評価する場合、何を基準にしていますか?
学習効果を検証する術はいろいろとあります。
例えば、テストを実施して点数化することや、何かしらを競わせて順位をつけるなど、結果の見えやすい方法が取られることが多いと思います。
効果測定という切り口で見ればこれらの方法は、定量的に結果が見れるのが良いですよね。
ただし、この方法では見えてこないポイントもあります。それが、過程です。
結果はどちらかと言えば、良かった、悪かった、勝った、負けたなどを見るには適しています。
前述のテストの得点もそうですね。例えばこれが数学のテストであった場合はどうでしょうか?答えは合っているものの、
どのような計算をしたのかまでは見ていないケースが多いのでは無いでしょうか。
つまりは、どうして良かったのか?、どうして勝ったのか?などの過程までは分かりません。
厳密には、事細かに見ることが難しい場合が多いという表現の方が適切かもしれません。
ひと昔前までは、「結果が全て」という考え方も流行りました。
今でも結果は重要であることは変わりませんが、何をもってその結果に至ったのかという過程も重要になっています。
過程を振り返る
「過程を振り返る」というのは目新しい考え方ではありませんが、中々徹底されないのも事実です。
それはなぜでしょうか?
「手間がかかる」、「面倒な作業」、「思い出すと辛いことがある」などの理由が挙げられるのではないでしょうか?
例えば、あなたは今日、生まれて初めて挑戦した料理がとても美味しくできたとします。
結果に満足したあなたは翌日、同じ料理にチャレンジしようと思いました。
ここで、あなたはどの調味料を何グラム入れ、どのタイミングで食材を火にかけたのか正確に覚えている自信がありますか?
また、上手くいかなかった場合、もう一度チャレンジしようと思っても、どこで上手くいかなかったのかを覚えているでしょうか?
ここで全て完璧に覚えている自信があるという方はなかなかいらっしゃらないと思います。
仮にその場で覚えていたとしても、翌日すっかり忘れてしまっていたという経験をお持ちの方も多いでしょう。
上記は料理を例にとって説明していますが、これは学生でも社会人でも同様です。
せっかくの経験を次に活かすためには、今回の経験をもとに振り返っておくことがが重要です。
KPTを使った振り返り
では簡単にできる振り返り手法を紹介したいと思います。
今回はKPTという振り返り手法をご紹介します。
KPTは、Keep、Problem、Tryの頭文字から名付けられたもので、ケプトと呼ばれています。
KPTは頭文字である3つの要素を使って振り返りと、今後の行動指針を決めるものです。
今回は、ケースとして「あなたが初めてたまご焼きを作った」結果を振り返るという事例で解説します。
ぜひ、頭の中で「生まれて初めてたまご焼きを作った自分」をイメージしながら読んでみてください。
実践の方法としては、よく大きめの模造紙と付箋と使って行います。
①振り返り(仕分けする)エリアを準備する
まずは模造紙にKeep(今後も続けること)、Problem(改善が必要なこと)、Try(挑戦したいこと)を分けるためのエリアを書きます。
イメージとしては以下のとおりです。
各エリアに振り返りの対象となった行動の中で、今後も続けたいこと、改善が必要なこと、挑戦したいことを仕分けしていきます。
②Keep(今後も続けること)、Problem(改善が必要なこと)を仕分ける
次に3つのエリアの中から「今後も続けたいこと」と「改善が必要なこと」を仕分けます。
このときのポイントとして、仕分ける対象は「結果」ではなく「過程(行動)」であることに気をつけましょう。
今回のケースの場合は以下のようなものが挙がったとします。
- いつものフライパンで作った
- たまごを2つ使ったら良い大きさになった
- 甘みがもう少しあっても良かった
- 美味しいたまご焼きができた
- たまごを混ぜる前にフライパンに火をかけたら少し焦げてしまった
上記の例の場合、このままでは振り分けしにくいものものがあることにお気づきでしょうか。
1. いつものフライパンで作った
これは行動にあたります。
ただし、これがKeepなのかProblemなのかの判断材料がないので、ヒアリングが必要な項目になります。
今回はイメージしていた長方形のたまご焼きではなく、オムレツのような形になったしまったので、
「改善が必要なこと」としてProblemに仕分けます。
2. たまごを2つ使ったら良い大きさになった
これはそのまま仕分けることができそうですね。
ポイントとしては、2つ使うことが絶対的な正解ではないものの、
振り返りを行なった本人が満足をしているので、「今後も続けたいこと」としてKeepに仕分けます。
3. 甘みがもう少しあっても良かった
結果としては満足していたとしても次への欲として、味の改善につなげたいという考えになります。
問題ではないですが、「改善が必要なこと」としてProblemに仕分けます。
4. 美味しいたまご焼きができた
上記3つを見ていただければお分かりかと思います。
これは結果のためどちらにも仕分けることができません。
5. たまごを混ぜる前にフライパンに火をかけたら少し焦げてしまった
最後は明らかに改善が必要な内容です。
こちらは「改善が必要なこと」としてProblemに仕分けます。
仕分けの結果として、以下のようになりました。
③Try(挑戦したいこと)を考える
一般的に「振り返り」と聞くと、仕分けの部分で終了してしまいがちですが、最後のひと踏ん張りとして、次につなげるアクションを考えます。
先程、Problemに挙がった内容の改善策を考えて、Tryに挙げます。
1. いつものフライパンで作った
これを改善するためには、何をすれば良いでしょうか?
問題点としては、たまご焼きの形を改善したい思いがあるので、ここは手っ取り早く、
「たまご焼き用のフライパンを購入する」が良いでしょう。
3. 甘みがもう少しあっても良かった
味への改善です。
たまご焼きの場合は、適宜味見ができるものではないと思いますので、
「砂糖を入れて味を調整する」で様子を見てみましょう。この時、何グラム入れるなど定量的な指標があるとより確実な改善につながります。
5. たまごを混ぜる前にフライパンに火をかけたら少し焦げてしまった
こちらは手順の改善になります。
問題としては、フライパンを熱しすぎてしまったようですので、
「たまごを焼く直前にフライパンに火をかける」で調整してみましょう。
最終的に以下のような結果になりました。
これで、次回への行動指針が完成したわけですが、もちろん完璧な手順に仕上がったがどうかはわかりません。
実勢にまた実行してみて振り返りを続けることでより良いものに近づいていくでしょう。
今回は1人でもできるテーマを用いて解説をしました。ですが、チームでもKPTは多いに役立ちます。
チームで振り返りを進める場合のポイントしては、ひとつの物事にこだわりすぎないことです。
チームのメンバーはそれぞれ個性はあり、価値観もバラバラです。
細かい内容で時間を使ってしまうと最後のTryまでたどり着けなくなってしまうので、注意が必要です。
とにかく振り返るという習慣を見に付けて、良い改善サイクルを手に入れましょう!