【初心者向け解説】 アンプラグド教育とは何をするもの?考え方と教え方3選
プログラミング教育というジャンルの中でしばし目にする「アンプラグド教育」、「アンプラグドプログラミング教育」というキーワード。
見慣れないキーワードだと思いますので、今回はアンプラグド教育について解説します。
アンプラグドは「パソコンを使わない」教育
アンプラグドという言葉の由来は、音楽関連でよく使われる言葉からきていると言われています。
音楽関連では、ギターなどの楽器にプラグを繋がないこと。つまり、電気楽器を使わない演奏の事を指しています。
では、プログラミング教育において、電気を使うものと言えば、パソコンです。
つまり、アンプラグド教育とは、パソコンを使わないプログラミング教育を指しています。
パソコンを使わないプログラミング教育の目的は様々ですが、中でもまだパソコン操作の難しい初等教育での効果が期待できます。
Pythonなどの高級言語(要はちゃんとしたプログラミング言語)は大人でも難しいという方もいらっしゃいますし、
Scratchなどの擬似言語(プログラミングっぽい言語)に関しても、特に初等教育の段階では難しい部分もあるでしょう。
アンプラグド教育は、上記のような操作レベルまで達せずとも、プログラミング教育は可能なのです。
みんなで楽しめるアンプラグド教育3選
では、アンプラグドなプログラミング教育には、どんなものがあるのでしょうか?
今回は比較的簡単にできて、かつみんが楽しくプログラミング教育を体験できる方法を紹介します。
①紙とペンだけでアルゴリズム学習
おそらく、アンプラグド教育と言ったら、これが最初に思いつく方も多いでしょう。
アルゴリズムを考えて、その流れをフローチャートとして紙に書きます。
個人の課題として進めるも良し、グループワークとして各々が書いたフローチャートを見せ合うのも、
お互いの考えを吸収できるチャンスにもなりますし、発言力や発表による考えの整理に繋がり良い刺激になります。
また、アンプラグドながらも、この学習はロボットを動かすことができるのです。
ここで操作されるロボットは、そう、あなたです!
少々ふざけましたが、フローチャートを検証する際、あみだくじのように線をなぞるのは楽しくありません。
どうせなら、ロボット役が実際に動いて検証してみると視覚的にも分かりやすく、なんと言っても楽しいです!
身体をはったファシリテーションは中々勇気がいると思いますが、効果は目に見えやすくコミュニケーションにもなります。
②ブロックやボールを使ってソートアルゴリズム学習
これは並べ替えられるものであれば何でも良いのですが、並べ変えている感覚が伝わるものを使うと良いでしょう。
ブロックやボールに数字を書いてソートアルゴリズムを検証します。
ズルができないルールを作れば、どのチームが早く並べ替えができるかを競う、ソートアルゴリズム競争も可能です。
また、もっと体感できる仕組みにしたい場合は、グループで集まって、自分を並べ替えの対象にしてみましょう。
年齢や、誕生日の日にち(1日から31日)で、どれだけ早く並べ替えられるかを競争するのも盛り上がります。
③「そうさカード」で図形を作成する擬似プログラミング学習
先ほど、擬似プログラミング学習は初等教育では難しいということを書きましたが、アンプラグド教育においてはこの矛盾を見事に解决できます。
今回は「そうさカード」を使ったプログラミング学習を紹介します。
こちらは少々準備が必要ですが、まず、「そうさカード」と呼ばれるものを準備します。
そうさカードには、「前にすすむ」や「右にまがる」などの操作を書きます。イラストや記号で表現しても構いません。
これら決められた操作のみを使って、指定された図形を完成させるのです。
例えば、以下のようなカードがあったとします。
- 前にすすむ
- 右にまがる
- 前にすすむ
- 右にまがる
- 前にすすむ
- 右にまがる
- 前にすすむ
この操作に従って線を引くとどんな図形が出来上がるでしょうか?
答えは「四角形」ですね。
このときに重要なのは、初等教育では「長さ」の概念が難しいので、各操作のときにどんなことをすれば良いのかを事前に練習します。
線を引くときも「いち、に」のように、線を引くテンポを合わせると足並みが揃います。
お題は大人でも脳トレになるくらいなので、最初は三角や四角で良いでしょう。
図形にこだわらず、目的地まで進むにはどの操作を組み合わせるかなど、ルールを変えても良いでしょう。
また、グループを組ませて、お題を出す前にどんな図形が完成するかをみんなで話し合うのも盛り上がるのではないでしょうか。
そうさカードは、Swift Playgroundsのような擬似言語で使用されている命令文をカードにすることで、プログラミングを体験する、
いわば、擬似言語の疑似体験です。
アンプラグド教育は状況に応じてカスタマイズできる
プログラミング教育という言葉を聞くと、ついつい擬似言語やロボットプログラミングをイメージされてしまうと思いますが、
プログラミングまたはパソコンに馴染みのない状態で実践するにはハードルが高すぎると思いますし、教育者でなくとも親御さんの準備負荷がかかります。
その半面、アンプラグド教育であれば少々ルールがゆるくても、エラーになることはありませんし、逆にトライ&エラーで場が盛り上がるでしょう。
また、トライ&エラーの中で、参加者の状況に応じたカスタマイズも可能です。
アンプラグド教育の中で重要な要素は、もちろん学習内容を理解することだと思いますが、「考えること」「結果を確認すること」、そしてなんと言っても「楽しいと思うこと」が重要です。
特に初等教育であればなおのこと今後の学習イメージにも繋がるため、肩肘はらずに教える側も楽しめる工夫を取り入れてみてください。