【プログラミング教育に困ったときのテクニック】問題発見能力を養っていますか?

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日本国内で「プログラミング教育」というキーワードが流行り始めてから、官民一体で様々な取り組みを行っている記事が世間を賑わせています。

 

ようやく日本でも本腰を入れ始めるようですが、もし、あなたもプログラミング教育に携わろう、もしくは既に携わっているのであれば、一旦立ち止まってこの記事を読んでみてください。

 

あなた、もしくは、あなたの周辺のプログラミング教育では「問題発見能力」に着目しているでしょうか?

プログラミング教育の多くは「プロセス教育」

筆者の見解ではありますが、世間に出回っている「プログラミング教育」の大半は「ロジカルに物事を考える」つまり「プロセス(過程)」に着目しているものが多いと感じています。プロセスに着目すること自体は決して悪いことではありませんが、ゴール設定があってこそ成立するものです。

 

ゴール設定は「何かが起こって初めて設定されるもの」なので、プロセスばかり教えていてもプログラミング教育の本質は適っていないのではないでしょうか。

課題と問題の違い

それでは、ゴール設定を行うためには何が必要なのでしょうか?ここでまず理解が必要なのが「課題」と「問題」の違いを理解することです。

 

「課題」とは「問題」があって初めて対処の方針が見えてくる、いわばタスクです。つまり、前述のゴール設定は「課題」であり「問題」ではありません。

 

プログラミング教育では問題発見能力も合わせて養う必要があります。特に、昨今流行っている擬似プログラミングなどを使った学習方法は「課題を消化すること」には長けていますが「問題を発見すること」はできません。

 

繰り返しになりますが「問題」とは「課題」を洗い出す前の解決すべき根本です。既に理解されている方も多いと思いますが、ここを履き違えてしまうと、従来どおりの、テキストやドリルを使って単純に答えを導く教育になってしまいます。

 

例えば、小学校教育であれば、低学年では「課題消化」に着目して、アンプラグド教育を導入し、中学年以降から徐々に問題発見能力を育成する方針にシフトするのも良いかもしれませんし、もちろん、低学年のうちから問題発見能力を育成することも可能です。

 

次に、問題発見から課題設定に至るまでの進め方について解説してみたいと思います。

問題から課題を導く

さて、ここでは、道徳教育に問題発見の要素を入れてみたいと思います。ケースとして「AさんとBさんが休み時間に遊ぶボールの取り合いをした」という想定で考えてみたいと思います。

 

なお、今回のケースは100%の解答ではありませんし、人によっては様々な意見が出てくると思います。そして、十人十色の意見は全て正解の可能性があることも理解しておきましょう。

事例

AさんとBさんが休み時間に遊ぶボールの取り合いをしていた。

それぞれの意見

Aさん:当日の朝、休み時間前にボールを使うことをクラス内で大声で宣言していた

Bさん:昨日最後にボールを使ったCさんに明日は自分が使うことを約束していた

解説

一見するとどちらも改善の余地はあるような行動だというのは間違いありません。また、この場で「AさんとBさんが仲良く使う」とか「どちらも悪いので、じゃんけんをして勝った方が使う」といった意見は、問題を解決するような抜本的な対策、つまり、課題の設定とは言えません。眼の前の事象を解決してるだけです。

 

ここで必要なことは「問題を発見すること」です。今回の事例での問題はどこにあるでしょうか?これも答えはひとつではないと思いますが、例として挙げるとすれば、以下のようなものでしょう。

 

  • ボールの数が少ない
  • ボールの予約ができない

 

「ボールの数が少ない」という問題については、学校の予算もあると思いますので、すぐには対処できないかもしれません、ですが、状況によっては「他のクラスから借りる」や「自宅にある使わないボールを寄付してもらう」などの課題に繋げられる可能性もありますので、間違いというわけでもないのです。

 

ですが、今回は「ボールの予約ができない」というものを問題点として挙げたとします。

 

この場合に考えられる課題としては「予約ルールを考える」ということでしょう。さらに、課題を細分化すると、予約表を作るとか、予約表係を作るとか、さまざまな課題が出てくるはずです。

 

今回の例はあくまでシンプルなものではありますが、プロセスを回すにしても、問題ありきで考えることが必要ということを理解しておきましょう。

問題や課題は「ひとつではない」

前述のとおり、今回挙げた例は非常にシンプルです。ですが、問題は深掘りをしていくと新たなる問題が浮き彫りになってくることはよくあることですし、課題を考えているときにも問題が発覚するケースもあります。

 

ポイントとしては、プロセスを回すために必要な情報や条件は揃っているかを同時に考えることです。もちろん、子どもたちは同時に考えることに慣れていないので、ここは大人たちが上手にフォローしながら問題発見能力を養ってあげてください。

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