日本のプログラミング教育を理解する3つのポイント
未来投資戦略2018年度版における「プログラミング教育」
首相官邸ホームページでは「未来投資戦略」の2018年度版(以下、未来投資戦略)を発行しています。
内容としては2020年までに投資集中すべき産業の概要やKPIなどが述べられています。これらを「第4次産業革命」と銘打って、日本国内の社会問題をデジタル化と生産性向上に向けた様々な内容が盛り込まれています。
2020年と言えば、義務教育において「プログラミング教育」が必修となり、世間の親御さんや講師を色々と騒がせておりますが、未来投資戦略ではプログラミング教育をどのように取り上げているのかを確認してみたいと思います。
AI時代に対応した人材育成と最適活用
これは未来投資戦略内にある見出しです。つまり、人工知能が組めれば良いということ・・・ではなく、あくまでも「デジタル化と生産性向上」に向けた取り組みのことです。
もともと日本はものづくりという面で圧倒的優位に立っている国です。最近では特に家電業界において海外メーカーの進出が盛んですが、内部の部品は日本製が使われていることは耳にしたことがあるはずです。
ではどこにウィークポイントがあるのかと言えば、フィジカル面ではなく、デジタル面にあると思います。例えば、IT企業におけるビッグネームはどこでしょうか?
おそらく、すぐに思いつく企業名として、Facebook、Apple、Google、Microsoft、Amazonなどの海外勢ではないでしょうか。日本は世界的に、特に「デジタル」という面でプレゼンスを向上させたい意図があると思います。
①プログラムができる人材を育てたいわけではない
前述の企業はIT企業のビッグネームを挙げました。ただし、決して未来投資戦略がプログラマを育成すること目的としているわけではないことを理解していただきたいと思います。
プログラムは「育成の手段」であり「ツール」です。結果としてプログラミングができる人材になってくれることは、ITエンジニアでもある私の身からすると嬉しい限りですが、プログラミング教育に求められる期待効果は「論理的思考力」の育成です。
論理的思考力とは、ロジカルシンキングとも呼ばれており、物事の道筋を立てたり、つじつまが合っているかなどを考える力の事を示します。
ロジカルシンキングと聞くと、コンサルタントなどのごく限られた職業でしか使わない能力のように感じてしまう方もいらっしゃるようですが、日常でも仕事でも使う能力です。
例えば、「カレーを作るのには白米が必要だ」と言われて納得してしまう人もいれば「え?カレーのルーは?」とか、「具は無いの?」のように思ってしまう人もいるでしょう。
これは自然と頭の中で抜け漏れがチェックされていることを示しています。プログラムにおいても抜け漏れが無いことや、思考の妥当性が無いとうまく機能が動かないわけですから、これらの能力を育てることによって生産性の向上を見込んでいるのだと思います。
②伸ばしたいのは柔軟な創造力
そもそもとして、文系・理系というくくりをつけてしまった歴史もよろしくないのかもしれないですが、未来投資戦略には、AI時代とは「AIの実装により、同質の大量生産から、AIとデータ利用による個別生産へとビジネスが変化する」といった記述があります。
ここで気になるのはまず「同質の大量生産」の部分。つまり、決められたルールを守り、アウトプットを進めていくことはやめようという意味合いに見えます。
決して日本人全員がそうだというわけでは無いと思いますが、例えば「マニュアル人間」や「敷かれたレールに乗る」など不名誉な称号が存在しているように、これまでの年功序列型の育成を捨て去り、データの読解力や、問題提起・課題解決力を高める教育にシフトすべきという想いなのでしょう。
未来投資戦略ではAIやビッグデータと言った文面が多く登場しますが、データの読解力や、問題提起・課題解決力は、これらとは関係なくこれまでも、これからも必須の能力であり、結果として柔軟な創造力を持つ人材が育成できるのだと思います。
③実は子どもたちだけではない
プログラミング教育と聞くと、あたかも子どもたちだけのように思えてしまいますが、我々大人に対しても様々な内容が盛り込まれています。
例えば、子どもたちにプログラミング教育を行う教育者についても指導内容を理解し、習熟度に応じた教育を進めることや、EdTechの活用など、これまでITリテラシーの低かった教育者には大変な現実が迫っています。
既に、未来の学びコンソーシアムや民間企業などによって準備支援を行なっている方も多いかと思いますが、2020年までに日本のすべての教育者がこれをマスターできるのかは気が遠くなる話に思えてしまいます。
また、産業界においてもこれまでのレガシーシステムを捨て、AI時代に対応したシステムの導入なども謳われており、従来のIT人材は学び直し、つまり、リカレント教育によるスキルチェンジ(またはスキルアップ)が求められています。
大人も子どもも来るべき2020年に向けてうかうかしていられない状況なのです。
でも本当に必要なのは未来を担う人材に合った教育
日本は前述のとおりデジタル面でのプレゼンスを向上するために上記のような施策を打ち出し、各省庁も動き出しています。
プログラミング教育においては文部科学省が中心となってガイドラインなどの準備を行なっておりますが、ガイドラインにそって教育を行なってもとどのつまり、これまでのマニュアルどおりの人材しか育成できないのではないでしょうか。
結論が出る前から問題提起をするのはよろしくないのですが、教育者の立場からすればいかに個々を伸ばせるかが必要だと思います。
そのためには教育者自身がITリテラシーを高めつつ、プログラミング教育をエデュテイメントに昇華できるかがポイントです。
プログラミング教育をどうやれば良いのか?そもそもITが苦手などお困りであれば、ぜひご相談ください。必ず「わかりにくい」を「わかりやすい」に変えてみせます!!