日本のIT人材が抱える3つの問題
日本のIT業界は人手が不足している
2018年現在、IT業界に従事する人たちは日本国内でおよそ90万人いるという統計があります(経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』より)。
90万人という数字は決して多いものではなく、年を重ねるごとにIT人材不足が騒がれていることもまた事実です。
IPA(情報処理推進機構)が出版している『IT人材白書』にもIT人材不足に関する記述は毎年必ず目をひきます。
2008年のリーマンショックから10年。プログラミング教育や人口知能、ブロックチェーンなど、IT業界にも明るい話題をちらほらと耳にする時代になってきました。
「なんだIT業界って新しいことをやっているし、人手が不足しているくらい引く手数多な職業なんだ」
そう考えてしまう人もいらっしゃるようですが、IT業界とIT人材の人口の推移を見る限り、とても現状が明るい状況には見えないのです。
今回は、主観ですが身近に感じている「日本のIT人材が抱える3つの問題」としていろいろ書いてみたいと思います。
日本のIT人材が抱える3つの問題
①キーボードが使えない現代人
現状かつ、将来的な問題だと思います。現代人はパソコンが使えないのです。
これはIT業界に関連する人以外で言えば何も言及はしません(おそらく関係が無いこともないと思いますが)。ここでお話しているのはIT業界に関連する人のことを指しています。
私はIT企業の方向けに新入社員研修としてプログラムを教えることがありますが、このときにネックになるのはキーボードタイピングなのです。
前述のとおり、IT業界は人材が不足しています。つまり新入社員(中途もですが)を採用しようとするとバックボーンとしてITスキルの有無というところは二の次になってしまい、結局はポテンシャル採用となってしまいます。
ITは世の中を便利にした功績として、スマートフォンやタブレット端末が挙げられますが、これが逆に「キーボードを打たなくて良い」文化を生み出してしまいました。
今後のITはIoT、AIの進化により、何もしなくても自動的に結果を出してくれる時代になるでしょう。
ITの進化がIT人材を狭めていることも事実なのです。
②進化を嫌うエンジニア
IT業界の歴史は汎用機の時代からWebの時代に変わり、大きく飛躍しました。日本国内でも、携帯(ガラケー)やPCの普及に伴いIT人材も大幅に増えました。
経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』によれば、Webの普及が始まった1995年頃から、2018年にかけてのIT人材は、およそ60万人から90万人と1.5倍に増えています。
急激に増強されたIT人材は一時期バブルを迎えました。そんな中で問題と感じているのが技術スピードの速さです。
IT業界では日進月歩で新しい技術が生まれています。例えば、Web2.0やクラウドといったキーワードももはや過去の話に聞こえてしまいます。
そんな中でも例えば、プログラミングに関して言えば、PHPやJavaが流行った時代も既に過去となっており、年収ベースで言っても、GoやPythonといった新鋭(Pythonも新しいわけではありませんが)の言語に抜かれてしまっています。
昔からあるプログラミング言語を否定するわけではありませんが、問題なのは、専門としている技術に加えて新しい技術を習得する意志。つまりは自分自身をブラッシュアップさせることに後ろ向きな方も多くいらっしゃるということです。
③日本のIT業界
これは上記2つの問題よりも範囲が大きな話です。
日本のIT業界には、SIerやSESといった業態が存在しています。これは日本のビジネスモデルに「請負」という概念が強く根付いていることが一因となっているのは過言ではないでしょう。
日本のITの業界を築いてきたのは間違いなくこれらの存在であり、この先も消滅することは無いと思います。しかし、このモデルが日本のIT人材のレベルを下げてしまっている原因にもなっていると私は考えています。
例えば、IT大国であるアメリカではSIerもSESも(似たような業態はあったとしても)存在せず、ほとんどが自社のエンジニアで賄っています。
このあたりの話は根深いので別の機会でも書いていきたいと思いますが、少なくともこれらの存在が日本のIT人材の価値を落としていると思います。
日本のIT人材のあり方を変えたい
今回の記事では、私の考えている問題点のピックアップにとどめていますし、解決策といったものを提示していません。
今回、私は「ITに関連する人たちへのキャリア支援」を目的として行動することにしました。上記の問題点についてはその第一歩として、まずは思うところをアウトプットするという機会にしています。
今後は上記の深掘りなどもしていきたいと思います。