これから求められる新しい「学力」とは?
子どもの学力は親の世帯収入と比例する事実
見出しのとおりです。
残念ながら、子どもたちの学力は親の収入によって左右されます。
先に補足をしておくと、
現代は「学力が全ての社会ではない」ですし、
学力主義、成果主義ではなく、物語主義の時代です。
さらに、どんな収入の家庭で育ったからと言っても、
今の私達が生活できているということは両親がいたからこそです。
そのような前提にもとづき話を進めます。
まず、いわゆる「頭が良い」と言われる指標としてテストの点数があります。
文部科学省の発表資料によれば、親の収入と子どもの成績は比例しているという結果が出ています。
平成29年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」
いくつかの成績をピックアップしてご紹介します。
<小学校6年生の成績(平成29年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」より抜粋)>
世帯収入200万円未満の家庭の子ども
・国語A:67.3
・算数A:69.7
世帯収入400万円〜500万円までの家庭の子ども
・国語A:73.2
・算数A:76.7
世帯収入900万円〜1000万円までの家庭の子ども
・国語A:79.0
・算数A:84.2
世帯収入1500万円以上の家庭の子ども
・国語A:82.3
・算数A:87.4
おそらく親の遺伝的なものもあるのかもしれません。
とは言え、言わずもがなな結果ではありますが、
親が子どもに教育コストをかける余裕があれば学力は上がるというものは事実であるという結果です。
ただ、これはあくまで「学力」という点にフォーカスした話であることを理解しましょう。
ここで言う「学力」とは、「勉強できる力」のことです。
学びのレベルを表す「思考コード」
首都圏模試センターという機関が考案した「思考コード」をご存知でしょうか?
学習内容に対して「読み取る力」と「考える力」の関連を示した表が開発されました。
「読み取る力」は、「どこまで知るのか?」という深さを示していて、1:単純、2:複雑、3:変容
といった具合で、レベルが上がっていきます。
「考える力」は、「どこまで考えるの?」という深さをしめしていて、A:知識・理解、B:応用・論理、C:批判・想像
といった具合で、レベルが上がっていきます。
この読み取る力と考える力の組み合わせのマトリクスが思考コードです。
この2つのレベルの組み合わせが上がれば上がるほど、読解力が上がるという考え方です。
さて、なぜこのタイミングで思考コードのお話をしたのかと言うと、
前述の「学力」は思考コードのA1〜A3、B1〜B3レベルに相当する内容だということです。
AもBも実は「知識」が要求されるのですが、これはいかに「記憶」するかに特化しています。
しかし、これからの物語主義の世界において、「記憶」をするだけでは意味がありません。
記憶した内容からいかに物語を想像(創造)するかがポイントです。
少し話が脱線しますが、次の質問について考えてみてください。
・なぜ人は年末ジャンボ宝くじに魅力を感じるのでしょうか?
・なぜ人は1晩を過ごす宿泊先として、素泊まり1500円の宿と豪華ディナー、モーニングのある10万円の宿を選択肢があるのでしょうか?
・なぜ人は行列に並んでまで商品を購入したり、話題のスポットに足を運んだり、サービスを受けに行くのでしょうか?
それは全て「思い出」という自分自身の物語の1ページを作りにいくからですよね。
ここからは少し冷たい表現になってしまいますが、、、
宝くじを買っても負ける可能性もあります。年末ジャンボ宝くじで1等7億が当たる可能性は2000万分の1とのことです。
1泊する最終目的は、屋根のある場所で体を休めることで1500円でも10万円でも最低限の目標は達成できます。
行列のできる場所も閑散期はある場合もあるので、タイミングを狙うなり、ネットで購入したりすれば体は楽です。
ですが、それを知っているはずなのに、これらの事例がなくなることがないのは、
そこでの体験に価値があるからですね。
体験を生むためには、知識を知ったうえで創造することが重要です。
この「創造」を生む力が、思考コードのC1〜C3のレベルにあたり、
新しい学習指導要領で求められる「思考力、判断力、表現力」ですね。
親の収入に左右されない学力
話をまとめると、これからは記憶だけではなく創造が重要な世の中です。
創造は学力と比例するものではないと考えています。
なので、親の収入とみらいの学力(記憶+創造)は比例しなくなると信じましょう!
が、日本はまだまだ問題があり、せっかくの学習指導要領が台無しになりそうな傾向があります。
例えば、プログラミング教育。
本当にプログラミングを学ばせようとした場合、パソコン、インターネット環境は必要になります。
ですが、この考えは日本の貧困層を無視した考え方です。
自宅にこの最低限の環境が準備できないと思われる貧困層は6、7人に1人と言われています。
厚生労働省の調査によれば、日本の17歳以下の子どもたちの十数%が貧困世帯にあるそうです。
仮に日本の小学生632万人の15%とした場合、およそ95万人がこの状況にあるということにあります。
これは単純計算ですが、決して無視できるボリュームではないです。
この状況を支援する団体も存在していますが、もっとローカライズされて良い問題だと思います。
学びは地域で作りましょう!
学校だけでも、企業だけでも、家庭だけの問題でもないのです。